聖人御命日と山茶花(さざんか)

 

 

今日は親鸞聖人の御命日です。

御本山では報恩講が勤修されています。私はお参りできませんでしたが、本堂でいつもと変わらずお勤めをしました。その後境内の掃除をしました。

そんな中庭の片隅に山茶花の花が咲いていました。二年ほど前に一本だけ植えたのですが、その後元気がなく葉もしおれ気味でもはや枯れるのかと惜しんでいたのですが、この時期になって、つぼみがなりそしてこのように美しい花を咲かせてくれました。

 それにしても花にも色々ありますが、冬の一番寒いこの時期に花を咲かせるというのは不思議な花ですね。寒風に揺れながらも耐え忍び、その中にほのかに照らすお日様ににっこりほほ笑んでいるかのようです。しかしそれゆえにいっそう美しく愛おしく見えます。

 親鸞聖人のご一生もとても順風満帆な安定した一生ではなかったでしょう。

その生涯は冬の寒い北風の中を歩んでいかれたような厳しいご一生であったように思えます。心もとないときも、不安な足取りのときもあったでしょう。しかしそのなかにこそ歩むべき道を見つけられて、一歩一歩歩んでいかれたのでしょう。

 

 

 

 吹き付ける北風のなか、わずかに一本だけの山茶花。

 こころもとなく不安げに揺れている。しかし揺れつつも

 その身は吹きつける強い風にもしなやかに しなやかに風にまかせて揺れている。

 日は照らしその身をやさしくつつみこむ。日と風と冷たすぎる土と、しかしそのなかにこそある温かさに育てられて、やがて鮮やかな一輪の花をさかせてゆく。

 その花の美しさはその花の歩みの強さの象徴でもある。

 今日は宗祖の御命日。寒風に咲く山茶花に宗祖の生涯を憶う。